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体 験 談

 埼玉県 Kさん 事故後後遺症

 時間湯を体験して思ったこと
 私が時間湯を知ったのは、共同浴場に入っていた地元の方の噂話からでした。当時、私は仕事中の事故で足の骨を砕いて深刻な後遺症に苦しんでいました。草津に来て、先ずは大滝の湯に入りましたが、傷跡や歩き方を好奇の目で見られて辛く思いました。そこで観光客の少ない共同浴場に入っていたのですが、地元の方が一緒に入っていた観光客に熱心に温泉の話をしていました。「状態によって選ぶ泉質が変わるので共同浴場も選んだ方がよい。足や頭に湯をかけてから入るなど、入り方で結果も変わる」というのです。そこで詳しく知りたかったら「時間湯」があると聞きました。

 復職に焦っていた私は迷わず「地蔵の湯」に申し込みました。混んでいたのか、申し込んでから少し待たされて、無事? 私の湯治生活がスタートしたのです。印象に残ったのは、申し込みの際に説明された厳しい規則です。貴重品持ち込み禁止、携帯電話の使用禁止、医師の受診や食事療法、挨拶やマナー、湯治に専念する為の規則正しい生活や湯治客同士の恋愛を控えること、他人の誹謗中傷禁止から、営業行為の禁止等々。それって常識では? と思うことから、そこまで言わなくても中学生じゃないのに、と感じることもありました。そして、かけ湯の仕方から半身浴スタートなど、他の人と違うアドバイスにも疑問を感じました。しかし、それらは後に全て納得できました。

 「当時、一緒に湯治していた人たちは良い方たちばかり」と言いたいのですが、実際は様々な人がいました。うつ病やノイローゼ気味で、人の悪口や悲観的な話ばかりする人。ネット社会の影響か少しでも気に入らないことがあるとブログや掲示板に仲間の中傷を書き込む人。飲酒やギャンブルに誘う人。正直、復職を急いでいた私には関わりたくない存在でした。また、時間湯には旅館さんの家族の方が時々参加していたのですが、ものすごく我がままで、注意されると親を使って抗議してくるので、湯治に集中したい私にはショックでした。 それでも素直に、いえ、とにかく良くなりたかったので黙々と入っていると、足の痛みは消え、土色だった足が肌色に戻りました。神棚への挨拶も含め「なるほどね」と後で納得することがあり、ルールを守っていれば、実に合理的で安全重視の湯治法だと感じたのも事実です。とにかく、皮膚病や失業で追い詰められた人が多いので、湯長さんや仲間の明るさや、優しさがなければ途中で時間湯を止める人は多いと思います。どんな社会にでもルールはあるし、それがあるから安心して生きていけるのですね。途中で止めていたら、たぶん私は、ルールの意味がわからずに時間湯否定論者になっていたと思います。何事も中途半端はいけない、と感じました。

 あくまで個人的な見解ですが、「時間湯」は傷ついた人たちが集まる場所だから、一度は諦めた人も、自分の過ちに気づいて、ちょっぴり反省したらまた挑戦してみてはどうでしょうか。
 時間湯は身体がよくなったらそれまで、うまくいかなかったら文句を言う、みたいな人が多いと聞きましたが、それでも「人間」を嫌いにならないで下さい。厳しさの中にも優しさがあふれ、誰より一番人間らしいのが、湯長さんだと分かるまで数ヶ月かかりました。ありがとうございました。


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